流動加速腐食(FAC)とエロージョン・コロージョン(E/C)

原子力を知りたい
エフエーシーとイーシーってどう違うんですか?

原子力マニア
FACは流動媒体による機械的作用と化学的作用の重畳による材料の損耗、E/Cは流動媒体による機械的作用のみによる材料の損耗です。

原子力を知りたい
層流と乱流でE/Cの腐食速度が変わるのはなぜですか?

原子力マニア
層流では流速の変化が緩やかで保護膜が形成されやすいですが、乱流では流速の変化が激しく保護膜が剥がれやすいためです。
流動加速腐食とは。
-書き換えられた文章-
金属が腐食する際に「流動加速腐食(FAC)」と呼ばれる現象が発生します。これは、流体がパイプを流れる際に生じる物理的および化学的な作用が重なることで、材料が激しく損耗するものです。
流体がまっすぐなパイプを流れる場合、腐食速度は層流域では流速の4乗に、乱流域では8乗に比例します。しかし、パイプが膨らんでいる部分では、流体の流れが乱れるようになり、腐食速度が著しく加速されます。このような乱流下で発生する腐食を流動加速腐食と呼びます。
2004年の美浜発電所での2次系配管破損は、流動加速腐熱が原因だと考えられています。同様に、熱交換器などのパイプの入り口付近には、パイプ径の2倍程度の範囲に腐食が集中する「吸い込み口腐食」と呼ばれる現象が発生することがあります。
[図1]は、単相流における流れパターンと流動加速腐食速度の関係の一例を示しています。
エロージョン・コロージョン(E/C)の定義

エロージョン・コロージョン(E/C)とは、液体やガス流の衝突により金属表面が損傷し、腐食が加速される現象です。このプロセスは、機器内部の流路やノズル、パイプまたは配管内の急激な流量変化やターンなどで発生します。液体の衝突によって金属の保護層が剥がれ、露出した表面が腐食性物質にさらされると、急速に腐食が進行します。
流動の影響によるE/C速度の変化

流動の影響によるエロージョンコロージョン(E/C)速度の変化は、流体の特性やパイプ内の流速などの要因に影響されます。流速が増加すると、E/C速度も増加します。これは、急速に流れる流体がパイプの表面に衝突し、保護酸化物層を破壊するためです。さらに、流体の粘度が低いと、E/C速度は高くなります。これは、低粘度の流体がパイプの表面に付着せず、保護酸化物層を削り取るためです。また、流体が二相流(液体と気体の混合物)である場合、E/C速度はさらに増加します。これは、気泡がパイプの表面に衝突し、保護酸化物層を損傷するためです。
流動加速腐食(FAC)の発生メカニズム

流動加速腐食(FAC)とは、流体の流れが金属表面の保護酸化物被膜を剥ぎ取り、腐食を進行させる現象です。具体的には、水や蒸気が金属表面に高速で衝突すると、保護被膜が破壊されて局所的な電位差が発生します。この電位差により、金属が溶解して腐食が進行します。
美浜発電所2次系配管破損におけるFAC

美浜発電所2次系配管破損におけるFAC
流動加速腐食(FAC)は、原子力発電所などの配管内で発生する腐食現象です。2004年、福井県の美浜発電所で2次系の配管が破損し、大量の放射性物質を含む蒸気が放出されました。この事故は、FACによる腐食が原因でした。
美浜発電所の破損配管は、冷却水を循環させるために使用されていました。冷却水には酸素が含まれており、これが配管内の金属と反応して酸化物を生成します。この酸化物が剥がれ落ちると、新しい金属が酸素にさらされ、さらに腐食が進行します。これがFACと呼ばれる腐食メカニズムです。
美浜発電所では、冷却水の流量が増加したり、温度が上昇したりすることで、FACが加速されました。また、配管の一部に傷や異物が付着していたことも腐食を促進したと考えられています。これらの要因が重なり、配管の壁が薄くなり、最終的に破損に至ったのです。
吸い込み口腐食(inlet attack)の発生

吸い込み口腐食(inlet attack)は、流動加速腐食(FAC)とエロージョン・コロージョン(E/C)の両方が関与する、配管や容器の吸い込み口に発生する腐食の一種です。通常、配管や容器の吸い込み口付近で流体の速度が急速に増加すると、FACが生じます。これは、流体の境界層が薄くなり、腐食性物質が配管や容器の表面に蓄積しやすくなるためです。
さらに、この領域ではE/Cも発生することがあります。E/Cは、流体中の固体粒子が配管や容器の表面を衝突して侵食することで発生します。これらの粒子は腐食反応をさらに促進し、腐食速度を加速します。その結果、吸い込み口腐食は、FACとE/Cの同時作用によって、配管や容器の急速な腐食につながる可能性があります。