原子力用語「クラッド」の2つの意味

原子力用語「クラッド」の2つの意味

原子力を知りたい

先生、『クラッド』って用語には2つの意味があるんですよね?

原子力マニア

その通り。1つは核燃料を覆う被覆、もう1つは耐食性に優れた表面層のことだね。

原子力を知りたい

被覆に使われている合金って、軽水炉と高速炉で違うんですか?

原子力マニア

そうだね。軽水炉ではジルコニウム合金、高速炉ではステンレス鋼が使われているよ。

クラッドとは。

-「クラッド」の原子力用語-

-1. 被覆(clad)-

「クラッド」という用語は、2つの意味で使われています。1つは、核燃料を覆う被覆です。この被覆は、中性子を吸収しにくく、耐食性に優れた合金で作られています。軽水炉ではジルコニウム合金が、高速炉ではステンレス鋼が使用されています。

-2. 表面コーティング(crud)-

もう1つの意味は、材料の表面を覆う耐食性のコーティングです。軽水炉の原子炉圧力容器の内側に、ステンレス鋼などのクラッド(厚さ3~10mm程度)が張られています。

-3. 懸濁物(crud)-

「crud」とは、軽水炉の一次冷却水中にある、配管系の金属が腐食して生じる金属酸化物の総称です。これらは水に溶けず、放射化されているため、一次冷却系の放射能蓄積の原因となります。「crud」は「Chalk River unidentified deposit」の略です。

燃料を密封する被覆材

燃料を密封する被覆材

原子力発電では、燃料の放射性物質を外部に放出しないために、「クラッド」と呼ばれる被覆材を使用しています。クラッドは金属製の薄い管状の筒で、燃料を内包して密封します。このクラッドは、燃料が反応によって発生する熱と圧力に耐え、放射線を遮断する重要な役割を担っています。また、燃料が崩壊した際に生じる破片を閉じ込めて環境への拡散を防ぐ効果もあります。

耐食性のある表面層

耐食性のある表面層

「クラッド」という言葉には原子力分野で2つの意味があります。1つは、燃料棒の表面を覆う耐食性のある層を指します。この層は、核燃料に含まれるウランやプルトニウムなどの放射性物質を腐食などから保護する役割を持っています。この耐食性の表面層は、通常、ジルコニウム合金などの耐腐食性の高い金属で形成されています。

軽水炉でのジルコニウム合金

軽水炉でのジルコニウム合金

軽水炉では、ジルコニウム合金が燃料のクラッド(被覆材)として使用されています。これは、ジルコニウムが中性子吸収断面積が低く、優れた耐食性と機械的強度を有するためです。ジルコニウム合金は、ジルコニウムにニオブやスズなどの合金元素を加えることで、耐食性や機械的強度が向上されています。軽水炉のクラッド材として使用されるジルコニウム合金は、一般的にジルカロイと呼ばれており、ジルカロイ2とジルカロイ4が広く使用されています。

高速炉でのステンレス鋼

高速炉でのステンレス鋼

高速炉において、ステンレス鋼がクラッド材として用いられています。クラッド材とは、核燃料を包み込む外側の被覆材のことです。高速炉では、核分裂反応に伴って放出される高速中性子を減速させるために、燃料をナトリウムで冷却します。そのため、クラッド材には、優れた耐熱性と耐食性が求められます。ステンレス鋼は、これらの要件を満たす最適な材料とされています。

一次冷却水中の放射化物質

一次冷却水中の放射化物質

一次冷却水中の放射化物質に関しては、クラッドにはもう一つの重要な意味があります。原子炉の燃料集合体は、燃料ペレットと呼ばれる核燃料を、ジルコニウム合金製の金属管であるクラッドチューブに封入しています。このジルコニウム合金は、中性子を吸収することによって放射化物質ジルコニウム93を生み出します。ジルコニウム93は、燃料集合体が使用済みになると一次冷却水中に漏出するため、主要な放射化物質の一つとなります。