原子力用語『自己遮蔽効果』とは

原子力を知りたい
先生、自己遮蔽効果って何ですか?

原子力マニア
共鳴エネルギー付近で中性子の吸収によってスペクトルが凹み、原子核の平均断面積が小さくなる現象のことだよ

原子力を知りたい
共鳴エネルギーって何ですか?

原子力マニア
ある特定のエネルギーで中性子の反応断面積が急激に大きくなるエネルギーのことだよ
自己遮蔽効果とは。
原子力用語の「自己遮蔽効果」とは、原子核と中性子の反応において、鉄(Fe)やウラン238(U-238)などの原子核に、あるエネルギーで中性子の共鳴捕獲が急増する現象を指します。
原子炉内の中性子の分布をスペクトルと呼びますが、共鳴エネルギー付近では中性子が吸収されるため、凹みができます。U-238の量が大きくなるほど、この凹みは大きくなり、結果として原子炉内で中性子がU-238に衝突する際の平均的な反応の大きさが小さくなります。この現象を自己遮蔽効果といいます。
自己遮蔽効果の定義

自己遮蔽効果とは、原子核崩壊や核反応で放出された放射線の一部が、それら自身や周囲の原子核によって吸収されて遮られる現象のことです。この効果により、放射線の実際の出射率は、放射性物質が分離されている場合よりも低くなります。自己遮蔽効果は、放射線源や遮蔽体の大きさ、形状、放射線の種類などの要因によって影響を受けます。
共鳴キャプチャ

共鳴キャプチャとは、原子核が中性子を吸収する際に特定のエネルギー状態にある場合に、より高い確率で反応する現象です。共鳴キャプチャが起きると、原子核は励起状態になり、過剰なエネルギーを放出して安定状態に戻ります。このとき放出されるエネルギーはガンマ線として観測されます。
共鳴キャプチャの発生確率は、中性子のエネルギーと原子核のエネルギー準位によって決まります。共鳴キャプチャが発生しやすいエネルギーを「共鳴エネルギー」と呼びます。共鳴エネルギー付近では、中性子の吸収確率が大幅に上昇するため、原子核は中性子を効率的に捕獲することができます。
中性子スペクトルの凹み

-中性子スペクトルの凹み-
自己遮蔽効果によって誘発されるもう一つの現象が中性子スペクトルの凹みです。中性子スペクトルとは、特定の核反応において放出される中性子のエネルギー分布を示したものです。自己遮蔽効果が発生すると、共鳴エネルギー帯域のエネルギーの中性子の放出が阻害されます。その結果、中性子スペクトルの共鳴エネルギー帯域に凹みが生じます。この凹みは、核反応率や原子炉の挙動の解析において重要な役割を果たします。
ウラン238の影響

-ウラン238の影響-
原子力用語である「自己遮蔽効果」において、ウラン238の存在が影響を及ぼす。ウラン238は、原子量238で大量の原子核内に中性子を持っている安定同位体です。ウラン238は中性子を吸収する性質を持ち、そのため別の核分裂性物質であるウラン235による核分裂反応を生じさせる中性子を捕捉してしまいます。この中性子の吸収によって、ウラン235が核分裂する確率が低下し、自己遮蔽効果がより強くなります。つまり、ウラン238の量が多いと、ウラン235による核分裂反応が抑制され、自己遮蔽効果がより顕著になるのです。
平均断面積の減少

平均断面積の減少とは、自己遮蔽効果によるもう1つの現象です。1つの原子核が中性子を吸収すると、励起状態に入り、その体積がわずかに大きくなります。そのため、次の中性子が同じ原子核に衝突する際の断面積が小さくなります。この断面積の減少により、中性子反応率が低下し、自己遮蔽効果はさらに強まります。つまり、中性子の蓄積が増えるにつれて、自己遮蔽効果も強くなり、中性子反応率を低下させて連鎖反応の制御に役立つのです。