プレストレスト・コンクリート製格納容器(PCCV)の概要と我が国での採用状況

原子力を知りたい
プレストレスト・コンクリート製格納容器って何ですか?

原子力マニア
プレストレスト・コンクリートで作られた原子炉格納容器のことです。

原子力を知りたい
プレストレスト・コンクリートってどういうものですか?

原子力マニア
内部に鋼線を入れて予圧縮した鉄筋コンクリートで、高い強度を持っています。
プレストレスト・コンクリート製格納容器とは。
「原子力施設で用いられる『プレストレストコンクリート製原子炉格納容器(PCCV)』は、プレストレストコンクリートと呼ばれる特殊な鉄筋コンクリートで造られています。このコンクリートは、鋼線(テンドン)を内部に通してあらかじめ全体を締め付けて圧縮を与えることで、非常に高い強度を持たせています。
地震が多い日本において、原子炉格納容器には高い耐震性が求められます。従来は分厚い鋼製の格納容器が使用されていましたが、近年は原子炉の出力が増大し、それに伴って格納容器も大型化しています。そこで、作業性の問題を解決するとともに、原子炉建屋を軽量化し耐震性を向上させるため、コンクリート製の格納容器が採用されるようになりました。
特に加圧水型軽水炉(PWR)では、炉心冷却材喪失事故時に発生する圧力上昇に耐えるため、格納容器の強度を高めるか容積を大きくする必要があります。このため、高強度のプレストレストコンクリートが使用されるようになっています。日本では、大飯発電所3・4号機、玄海発電所3・4号機などの120万キロワット級のPWRでPCCVが採用されています。」
プレストレスト・コンクリートの特性

-プレストレスト・コンクリートの特性-
プレストレスト・コンクリートは、コンクリートの引張強度を向上させるために、コンクリートに引張力を加えることで作られる特殊なコンクリートです。この引張力は、鋼線をコンクリートに埋め込んで固化させることで実現されます。この鋼線は、コンクリートが硬化した後に緩めて張力を与えることで、コンクリートに圧縮力を加えます。
この圧縮力は、コンクリートの引張応力に対してバランスを取る役割を果たし、コンクリートの引張強度を大幅に向上させます。また、プレストレスト・コンクリートは、通常のコンクリートよりも耐久性と耐クラック性に優れています。これらの特性により、プレストレスト・コンクリートは、橋梁、建造物、原子力発電所の格納容器など、高い耐荷重性と耐久性が要求される構造物に適しています。
PCCVの耐震性能

PCCVの耐震性能は、鋼材のプレストレスト効果とコンクリートのせん断耐力を併用することで確保されています。プレストレスト効果は、鋼材に圧縮応力を与えることでコンクリートに引張応力を発生させ、コンクリートのせん断耐力を向上させます。さらに、PCCVでは壁厚が厚く、コンクリートの配筋率も高いため、高いせん断耐力を有しています。これにより、地震時でも構造のせん断破壊を防ぎ、耐震性能を確保しています。
我が国におけるPCCVの採用状況

我が国におけるPCCVの採用状況
日本では、1970年代に初めてPCCVが原子力発電所に採用され、現在ではPWRとBWRの両方で広く使用されています。そのメリットである優れた耐震性、耐火性、建設費の低さが評価されています。代表的な例として、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所や日本原燃の六ヶ所再処理工場があります。近年では、既存の原子力発電所への耐震補強策としてPCCVの採用が検討されています。
大飯発電所と玄海発電所のPCCV

我が国におけるPCCVの採用例として特筆すべきは、関西電力の大飯発電所と九州電力玄海発電所における採用です。大飯発電所では、我が国初の商用原子炉として採用され、玄海発電所では、改良型PWRとして採用されました。これらの発電所では、PCCVが建屋外に設置されており、外気との接触によりコンクリートの劣化が懸念されましたが、適切な対策が講じられ、長年にわたって安全に運転しています。
PCCVの今後の方向性

PCCVの今後の方向性
我が国におけるPCCVの採用状況を踏まえ、今後の方向性について検討が行われている。具体的には、建設・運用コストの低減に向けた部材の標準化や施工方法の合理化、耐用年数の延長のための耐久性向上対策、安全性向上のための技術開発が進められている。また、核燃料サイクルの進展に伴い、使用済み核燃料の貯蔵にPCCVを活用する検討もなされている。このような技術開発や検討を通じて、PCCVの更なる普及と競争力強化が図られることが期待されている。