原子炉水化学:原子炉冷却水の放射線分解と放射性腐食生成物

原子炉水化学:原子炉冷却水の放射線分解と放射性腐食生成物

原子力を知りたい

先生、原子炉水化学について教えてください。

原子力マニア

原子炉水化学とは、原子炉冷却水の放射線分解による放射性腐食生成物の種類や発生しきい値を明らかにする学問分野のことです。配管への放射能蓄積の低減化、作業員の放射線被ばくの低減化、応力腐食割れの防止のために重要です。

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放射性腐食生成物とは何ですか?

原子力マニア

放射性腐食生成物は、冷却水系の配管・機器及び燃料集合体の表面から発生した水垢(クラッド)が炉心において中性子照射を受けて放射化したものです。線量率に大きく寄与する核種は60Co、59Fe、54Mnなどです。

原子炉水化学とは。

-原子炉水化学-

原子炉水化学とは、原子炉の冷却水における放射線分解によって生成する放射性物質(放射性腐食生成物)の種類や発生の条件を調べる学問分野です。この分野は、配管への放射性物質の蓄積を低減し、作業員の被ばくを減らし、配管の応力腐食割れを防ぐために重要な役割を果たしています。

放射性腐食生成物は、冷却水中の金属表面に付着した水あかが中性子線を浴びて放射性化されたものです。これらの物質のうち、最も影響が大きい核種はコバルト60、鉄59、マンガンス4などです。

冷却水中の水あかの発生を減らし、水あかと放射性腐食生成物を除去することは、作業員の被ばく線量を低減するために不可欠です。原子炉水化学は、沸騰水型原子炉(BWR)、加圧水型原子炉(PWR)の一・二次系、CANDU炉など、さまざまな原子炉の安全性、信頼性、長寿命化に大きく影響しています。

原子炉水化学の概要

原子炉水化学の概要

原子炉水化学は、原子炉の冷却水における放射線分解と放射性腐食生成物の生成を制御する重要な分野です。原子炉内の冷却水は、中性子照射により放射線分解され、水素や過酸化水素などの放射性分解生成物を生成します。これらは原子炉構造材や燃料被覆管との反応により、放射性腐食生成物を生成します。これらの生成物は、腐食や燃料の欠陥を引き起こし、原子炉の安全と性能に影響を与えます。原子炉水化学は、これらの生成物を制御し、原子炉の安全と耐久性を確保するために不可欠な役割を果たしています。

放射性腐食生成物の発生

放射性腐食生成物の発生

-放射性腐食生成物の発生-

原子炉冷却水には、溶存酸素や不純物が含まれており、原子炉の構造材料と反応して腐食を引き起こします。この腐食によって生成される腐食生成物は、原子炉の冷却材や構造材に付着したり、冷却水中に溶け込んだりします。

腐食生成物の中には、放射性同位体を含むものがあり、これが放射性腐食生成物と呼ばれます。放射性腐食生成物は、原子炉の運転中に原子炉冷却水中の中性子と反応して生成されます。この反応により、原子炉冷却水は放射性物質を帯びるようになります。

放射性腐食生成物の影響

放射性腐食生成物の影響

放射性腐食生成物は、原子炉冷却水が放射線照射を受けると生成される、放射能を持つ化学物質です。これらは原子炉の材料を腐食させ、その寿命を縮めたり、安全性を低下させたりすることがあります。

さらに、放射性腐食生成物は冷却水中に放出され、原子炉の操作性や安全性に問題を引き起こす可能性があります。例えば、放射性腐食生成物が燃料集合体の表面に蓄積すると、熱伝達の低下や燃料の損傷につながる場合があります。また、冷却水のpHや導電率を変化させて、腐食を促進したり、機器の故障を引き起こしたりする可能性もあります。

冷却水中のクラッドの低減

冷却水中のクラッドの低減

冷却水中のクラッドの低減

原子炉冷却水中の過剰なクラッドは、原子炉の安全で効率的な運転に悪影響を及ぼす可能性があります。クラッドとは、原子炉燃料棒を覆う腐食防止用の金属被覆のことです。

このような問題に対処するため、さまざまな手法が開発されています。一つの方法は、冷却水に酸素を注入することです。酸素は、クラッドを非水溶性の酸化物に変換し、この酸化物を燃料棒から剥離させることで、クラッドの溶出を低減します。

もう一つの方法は、冷却水にリチウムを添加することです。リチウムは、クラッド表面に保護膜を形成し、水との反応を減少させます。この膜は、クラッドの溶出を抑制し、冷却水中の過剰なクラッドを低減します。

浄化系のクラッドと放射性腐食生成物の除去

浄化系のクラッドと放射性腐食生成物の除去

原子炉冷却水に含まれる放射性腐食生成物を除去するためには、浄化系が設けられています。浄化系には、クラッド除去装置放射性腐食生成物除去装置の2種類があり、それぞれ異なる原理で放射性物質を除去しています。

クラッド除去装置では、原子炉冷却水中の燃料被覆管(クラッド)から剥離した金属イオンや酸化物を除去します。この装置は、イオン交換樹脂や膜分離技術などを用いて金属イオンや酸化物を吸着またはろ過して除去します。

一方、放射性腐食生成物除去装置では、原子炉冷却水中の金属イオンや酸化物の他に、放射性ヨウ素や放射性セシウムなどの放射性同位元素を除去します。この装置では、活性炭やゼオライトなどの吸着剤を用いて放射性物質を吸着して除去します。