線衝突阻止能とは?荷電粒子と物質の衝突におけるエネルギー損失

原子力を知りたい
線衝突阻止能とは何ですか?

原子力マニア
荷電粒子が物質中を進む際に、衝突によって失うエネルギーの単位長さ当たりの値のことです。

原子力を知りたい
単位は何ですか?

原子力マニア
J/mまたはkeV/μmです。
線衝突阻止能とは。
原子力分野で用いられる「線衝突阻止能」とは、荷電粒子が物質中を移動する際に、衝突や電離・励起作用によって単位長さ(距離)当たりに失うエネルギー(dE/dx)colのことです。単位はJ/mやkeV/μmです。
一方、「線制動放射阻止能」は、荷電粒子が物質に制動放射によって与える単位長さ当たりのエネルギー損失(dE/dx)radのことです。
したがって、荷電粒子が物質の単位長さ当たりに失う全エネルギー(全阻止能または線阻止能)は、線衝突阻止能と線制動放射阻止能の合計で表されます。
なお、線衝突阻止能を物質の密度で割った値は「質量衝突阻止能」と呼ばれます。
線衝突阻止能の定義

線衝突阻止能とは、荷電粒子が物質中を運動するときに、物質を構成する原子や分子との線衝突によって失うエネルギーのことです。この衝突では、荷電粒子は対象と正面衝突し、主にクーロン力によって運動エネルギーを失います。線衝突阻止能は、物質の種類、荷電粒子の質量・電荷、入射エネルギーなどの要因によって決まります。
荷電粒子の物質中でのエネルギー損失(dE/dx)col

荷電粒子が物質と衝突すると、物質の電子と衝突してエネルギーを失います。このエネルギー損失率をdE/dxcolと呼びます。dE/dxcolは、荷電粒子の運動エネルギー、物質の密度、物質を構成する原子の原子番号といった因子によって決まります。荷電粒子の運動エネルギーが高いほど、物質の密度が低いほど、さらに原子番号が小さい物質ほど、dE/dxcolは小さくなります。荷電粒子のエネルギーが物質の電子の束縛エネルギーよりも低い場合、dE/dxcolは非常に小さくなります。
線制動放射阻止能とは

線制動放射阻止能とは、荷電粒子が物質を貫通するときに発生するエネルギー損失のうち、線制動放射による損失分を指します。線制動放射とは、荷電粒子が物質の原子核の電磁場に加速されるときに放出されるX線やガンマ線のことで、粒子の運動エネルギーの損失につながります。物質に衝突する粒子のエネルギーが高いほど、線制動放射によるエネルギー損失も大きくなります。この損失は、荷電粒子の通過経路に沿って連続的に発生し、物質を貫通する際のエネルギー損失に大きく影響します。
全阻止能(線阻止能)

全阻止能(線阻止能)は、荷電粒子が物質を貫通する際に失うエネルギーの総量です。荷電粒子が物質に入射すると、物質中の電子と衝突してエネルギーを失います。この衝突は荷電粒子の運動エネルギーを電子に伝達し、電子の運動エネルギーが増加します。荷電粒子が物質中を進むにつれて、このような衝突が繰り返され、荷電粒子のエネルギーは徐々に低下します。最終的に、荷電粒子のエネルギーが物質中の電子のエネルギーを下回ると、荷電粒子は物質中を移動できなくなり、衝突によりさらにエネルギーを失って静止します。
質量衝突阻止能

質量衝突阻止能は、荷電粒子が物質を通過する際に質量変化によって失うエネルギーのことを指します。このエネルギー損失量は、粒子の質量、速度、物質の密度に依存します。荷電粒子が物質の原子核に近づくと、クーロン相互作用によって加速され、軌道が変化します。この軌道変化に伴って、粒子の速度が低下し、その結果、エネルギーが失われます。質量衝突阻止能は、荷電粒子が物質中を移動する距離に比例します。つまり、質量衝突阻止能が大きいほど、粒子は物質中をより短距離しか移動できません。