原子力における「脆化」の解説

原子力を知りたい
先生、脆化とは何ですか?

原子力マニア
脆化とは、材料が変形時に抗力が大きくなり、変形能が小さくなって、伸びや断面収縮率が低下する性質のことだよ。

原子力を知りたい
脆化する原因は何がありますか?

原子力マニア
青熱脆性、赤熱脆性、焼もどし脆性など、さまざまな原因があるんだよ。それ以外にも照射脆化や水素脆化もあるよ。
脆化とは。
「原子力では、「脆化」という用語が使われます。これは、材料の変形において、抵抗力が高まり変形できる量が減り、さらに伸びや断面積の減少率が低下することを指します。この性質を「脆性」または「もろさ」と呼びます。脆化はさまざまな原因で発生します。
一般的に鉄鋼は、250℃付近で表面が青色に変化することから「青熱脆性」と呼ばれる脆化を起こします。また、鉄鋼中のマンガンと硫黄の比が1未満になると、鉄鋼が赤熱状態になると粒界にFeSが主に形成され、脆化が起こります。これを「赤熱脆性」または「高温脆性」と呼びます。
焼き戻し処理による組織変化や炭化物の析出によっても脆化が起こり、これを「焼き戻し脆性」と呼びます。他にも、「照射脆化」、「水素脆化」、「ヘリウム脆化」、「切欠き脆化」、「低温脆化」などがあります。」
脆化とは何か

-脆化とは何か-
脆化とは、材料が延性から脆性へと変化する現象を指します。延性は曲げたり伸ばしたりしても壊れにくい性質を、脆性は衝撃や力が加わると突然壊れてしまう性質を表します。原子力発電所で使用される材料は、中性子照射と呼ばれる過程で中性子線を浴びることによって脆化を起こす可能性があります。中性子照射は、材料内の原子と中性子線の相互作用によって引き起こされ、材料の結晶構造や化学構造を変化させます。この変化により、材料の延性が低下し、脆くなってしまいます。
青熱脆性

-青熱脆性-
原子力発電所における脆化現象の中で、重要なものの1つが青熱脆性です。燃料棒を覆うジルコニウム合金の被覆管が、高温の水蒸気環境にさらされると起こります。高温になると、ジルコニウム合金中に水素が拡散し、ジルコニウム水素化物と呼ばれる脆い化合物を形成します。この化合物は被覆管を弱め、破断する可能性があります。青熱脆性は、原子炉の過渡運転や事故時に発生することがあり、燃料集合体や原子炉格納容器の健全性に大きな影響を与える可能性があります。そのため、原子力発電所の安全確保のために、青熱脆性を防止するための対策が講じられています。
赤熱脆性

赤熱脆性は、鋼の温度が400~550℃の範囲にあるときに、延性が著しく低下する現象です。この温度範囲では、鋼中の炭素が鉄原子から遊離し、結晶粒界に析出します。析出した炭素は、結晶粒界を弱め、鋼を脆くします。赤熱脆性によって、鋼は衝撃や振動に対して耐性が低下し、破損しやすくなります。
焼もどし脆性

-焼戻し脆性-
原子炉の圧力容器など、原子力発電所で使用される材料は、長期的な熱暴露によって焼もどし脆性と呼ばれる現象が発生する可能性があります。これは、原子炉の稼働中に金属に存在する微細な欠陥が、長期的に熱にさらされることで不安定化し、材料の延性と靭性を低下させる現象です。この脆化は、圧力容器の破壊やその他の構造的問題につながる可能性があり、原子力発電所の安全性を脅かします。
焼もどし脆性は、炉の臨界温度(約350〜550℃)での長期的な熱暴露によって引き起こされます。この温度域では、鋼中の炭化物が安定化し、粒界に析出します。これらの粒界炭化物が、亀裂の発生と伝搬の場となり、材料の延性を低下させるのです。
その他の脆化

「その他の脆化」では、原子炉圧力容器や配管の脆化を引き起こす他の要因について説明します。その一つとして、応力腐食割れが挙げられます。これは、応力下で腐食性環境にさらされた材料に発生する脆性破壊の一種です。また、照射脆化も原子力における脆化の一般的な形態です。これは、中性子線照射により材料の延性が低下して脆くなる現象です。さらに、水素脆化も、原子炉内での水素ガスへの曝露により材料が脆くなる場合があります。これらの脆化形態は、原子炉圧力容器や配管の健全性に影響を与える可能性があり、定期的な検査と監視が不可欠です。