ケミカルシム〜原子炉冷却材の制御方法

ケミカルシム〜原子炉冷却材の制御方法

原子力を知りたい

ケミカルシムって何ですか?

原子力マニア

原子炉冷却材にホウ酸を溶かして、原子炉の出力を制御する方法だよ。

原子力を知りたい

ホウ酸を溶かすのはなぜですか?

原子力マニア

ホウ酸は熱中性子を吸収する性質があって、濃度を調節することで反応度を制御できるんだ。

ケミカルシムとは。

原子力用語の「ケミカルシム」は、原子炉の冷却液にホウ酸を溶解し、その濃度を調整することで核反応の速度を制御する方法です。

加圧水型軽水炉では、制御棒を挿入して出力を制御すると、核反応の分布に偏りが生じます。そこで、この偏りを緩和するためにケミカルシムを併用しています。さらに、燃料が燃焼するにつれて起こる反応度の緩やかな低下を補う役割も果たしています。

ただし、沸騰水型軽水炉では、冷却水が水と蒸気の混合状態になるため、ホウ酸が溶解物として析出する可能性があります。そのため、沸騰水型軽水炉ではケミカルシムは行わず、再循環流量の調整などで出力制御を行っています。

原子炉冷却材におけるケミカルシムの概要

原子炉冷却材におけるケミカルシムの概要

このでは、原子炉冷却材におけるケミカルシムの概要について解説します。ケミカルシムとは、原子炉冷却材の水に添加される化学物質で、冷却材の化学制御に使用されます。主に、冷却材の腐食抑制や放射性物質の除去に使用され、原子炉の安全で安定した運転に重要な役割を果たしています。

加圧水型軽水炉におけるケミカルシムの役割

加圧水型軽水炉におけるケミカルシムの役割

加圧水型軽水炉では、ケミカルシムは主に以下の重要な役割を果たしています。

* -溶存酸素の除去- 原子炉の冷却材中に溶存している酸素は、金属部品を腐食する原因となります。ケミカルシムは酸素と反応して不溶性の酸化物を形成し、酸素を冷却材から除去します。
* -腐食生成物の抑制- 原子炉の運転中に、金属部品から溶出する腐食生成物が冷却材中に生成されます。ケミカルシムはこれらの腐食生成物と反応して安定な化合物へと変化させ、腐食生成物の生成を抑制します。
* -炉内化学制御- ケミカルシムは冷却材のpHを調整し、最適な炉内環境を維持することに役立ちます。pHが適切に制御されると、金属部品の腐食を低減し、原子炉の安全性を向上させることができます。

制御棒との連携による出力制御

制御棒との連携による出力制御

原子炉の出力制御は、制御棒とケミカルシムを連携させ、中性子束を細かく調整することで行われます。制御棒は、中性子を吸収して原子炉反応を抑える役割があります。一方、ケミカルシムは、中性子吸収材であるホウ酸塩を制御棒に注入することで、中性子吸収量を段階的に変化させられます。この2つを組み合わせることで、原子炉の出力の変化をより精密に行うことが可能となります。

燃料燃焼に伴う反応度低下への補償

燃料燃焼に伴う反応度低下への補償

ケミカルシムは、原子炉の冷却材に添加される化学物質で、原子炉の安全な運転に大きな役割を果たしています。その中でも重要な役割の一つが、燃料燃焼に伴う反応度低下への補償です。

原子炉の中では核分裂反応によって熱が発生していますが、核分裂を効率的に行うためには、核反応が継続的に起こるようにする必要があります。このとき、核分裂反応は反応度と呼ばれる量によって制御されています。反応度は、核分裂反応によって発生する中性子の量と、その中性子が他の原子核に吸収される量とのバランスによって決まります。

核分裂反応が進み燃料が燃焼すると、原子炉内の核分裂性物質の量も減少するため、反応度も低下していきます。この反応度低下の補償をするために、ケミカルシムが冷却材に添加されます。ケミカルシムは、中性子を吸収して減速する性質があり、この効果によって反応度の低下を補償することができます。

このように、ケミカルシムは原子炉の冷却材の制御に不可欠な物質で、原子炉の安全かつ効率的な運転に貢献しています。

沸騰水型軽水炉におけるケミカルシムの非実施

沸騰水型軽水炉におけるケミカルシムの非実施

「ケミカルシム〜原子炉冷却材の制御方法」
「沸騰水型軽水炉におけるケミカルシムの非実施」

沸騰水型軽水炉(BWR)では、ケミカルシムは実施されていません。これは、BWRの冷却材が直接蒸気タービンに送られるためです。ケミカルシムが添加されると、冷却材中に炭酸リチウムが発生し、タービンブレードに付着することがあります。付着した炭酸リチウムは熱伝導性を低下させ、タービンの効率に影響を与える恐れがあります。そのため、BWRではケミカルシムの代わりに、水素注入や気液混合など、他の方法で冷却材のpH制御を行っています。