炉心内で反応度制御に使う「可燃性毒物」とは?

原子力を知りたい
「可燃性毒物」の意味を教えてください。

原子力マニア
核燃料に混ぜて使う物質で、燃料の燃焼による反応度の低下を補うために使われます。

原子力を知りたい
ということは、中性子吸収能が高い物質ですか?

原子力マニア
そうです。ホウ素やサマリウムなどが代表例です。
可燃性毒物とは。
「可燃性毒物」とは、原子炉内で核燃料内に含まれる物質で、燃料が燃焼するにつれて消費されます。消費されることで、核分裂による反応性が低下し、その補填のために中性子吸収性毒物が使用されます。
この可燃性毒物は、炉心立ち上げ時や運転初期では、燃料終盤に比べて大幅に大きな反応性が必要となるため使用されます。炉心終盤まで反応性を制御するために、中性子吸収断面積が大きい物質が使われます。
代表的な可燃性毒物としてホウ素が挙げられますが、他にサマリウム、ハフニウム、ガドリニウムなどが利用されています。
可燃性毒物の役割

原子炉の中、まさに炉心と呼ばれる反応が行われている領域では、反応を制御するための重要な役割を果たす物質があります。その名は可燃性毒物。可燃性とは燃えやすい性質を示し、毒物とは放射性物質の総称です。
可燃性毒物は、炉心での核反応を抑制し、制御するための「負の反応度」という効果をもたらします。この負の反応度は、核反応の連鎖反応を遅らせ、原子炉の出力の安定化に貢献します。つまり、可燃性毒物は原子炉の暴走を防ぐという、安全に欠かせない役割を担っているのです。
可燃性毒物の種類

可燃性毒物は、炉心内で反応度を制御するために使用される物質です。代表的な可燃性毒物には、以下のようなものがあります。
* -ホウ素(B)-原子番号5の元素で、非常に軽くて強靭です。中性子吸収断面積が大きく、制御棒の材料として使用されます。
* -カドミウム(Cd)-原子番号48の元素で、銀白色で軟らかい金属です。中性子吸収断面積は比較的大きく、制御棒や遮蔽材として使用されます。
* -ジボラン(B2H6)-2つのホウ素原子と6つの水素原子からなる無色気体です。中性子吸収断面積が非常に大きく、化学反応速度も速いことから、制御棒の材料として使用されます。
* -ハフニウム(Hf)-原子番号72の元素で、銀白色で硬い金属です。中性子吸収断面積が大きく、制御棒や遮蔽材として使用されます。
* -サマリウム(Sm)-原子番号62の元素で、銀白色で軟らかい金属です。中性子吸収断面積が比較的大きく、制御棒の材料として使用されます。
これらの可燃性毒物は、燃焼によって反応度を減少させることができます。燃焼速度が制御できるため、詳細に反応度を調整することが可能になります。ただし、可燃性毒物は燃焼によって消費されるため、定期的に補充する必要があります。
ホウ素:代表的な可燃性毒物

炉心内で反応度制御に用いられる「可燃性毒物」のうち、代表的なものはホウ素です。ホウ素は、中性子吸収作用が強く、中性子束を調整して炉の反応度を制御する役割を果たします。しかし、ホウ素は可燃性物質であり、高温になると酸素と反応して燃焼する可能性があります。そのため、ホウ素を炉心に導入する際には、安全性に十分配慮する必要があります。
炉心始動時の可燃性毒物

炉心始動時の可燃性毒物
炉心始動時には、制御棒を引き抜いて原子炉を臨界状態にする必要がある。このとき、核燃料中に含まれるウラン235の核分裂生成物であるキセノン135という可燃性毒物が大量に生成される。キセノン135は中性子を吸収して核分裂連鎖反応を抑制する特性があり、炉心始動直後はこの毒物の影響で十分な連鎖反応が起きずに炉出力が上がり悩む。そのため、炉心始動時には、キセノン135が減衰するまで時間を置くか、あるいはキセノン135を吸収して安定な元素に変換するボロンなどの吸収材を投入して制御する必要がある。
中性子吸収断面積と可燃性毒物

-中性子吸収断面積と可燃性毒物-
可燃性毒物が炉心内で反応度制御に使用できるのは、その高い中性子吸収断面積のおかげです。中性子吸収断面積とは、物質が中性子を吸収する確率を表す指標です。可燃性毒物は、中性子に対して大きな吸収断面積を持いため、中性子を効果的に吸収して反応度を下げることができます。
この性質を利用すると、可燃性毒物を炉心に追加することで、中性子の吸収量を増やして反応度を低下させ、逆に可燃性毒物を除去することで、中性子の吸収量を減らして反応度を上昇させることができます。このように、可燃性毒物を制御することで、炉心の反応度を柔軟に調整することが可能となり、安全で安定した炉の運転に役立てられています。