原子力用語『照射損傷』を徹底解説

原子力を知りたい
照射損傷とは何ですか?

原子力マニア
照射損傷とは、材料がエネルギーを持つ放射線にさらされたときに生じる損傷のことです。放射線損傷とも呼ばれます。

原子力を知りたい
照射損傷の種類を教えてください。

原子力マニア
照射損傷は、弾き出し損傷と核変換損傷に大別されます。弾き出し損傷は、放射線によって原子が格子からはじき出されることで生じます。核変換損傷は、中性子との衝突によって原子核が変換され、不純物として物質中に存在することで生じます。
照射損傷とは。
「照射損傷」とは、物質が中性子やガンマ線などの高エネルギー放射線にさらされて生じる損傷のことです。放射線損傷とも呼ばれています。照射損傷は、大きく「弾き出し損傷」と「核変換損傷」の2種類に分けられます。
「弾き出し損傷」は、結晶構造の格子点にある原子が放射線によって弾き飛ばされることによって生じます。このとき、空いた格子点と弾き飛ばされた原子のペアが「フレンケル対」と呼ばれ、照射損傷の素となります。
「核変換損傷」は、中性子と衝突した原子核が核変換を起こし、別の元素に変換されることによって生じます。この変換された原子は不純物として物質中に存在し、性質に影響を与えます。例えば、(n,α)反応や(n,p)反応によって、物質中にヘリウムや水素が生成し、それが気泡を生成することがあります。また、合金の成分が核変換によって変化すると、物理的・機械的性質が変わることもあります。
照射損傷とは?

-照射損傷とは?-
照射損傷とは、中性子やイオンなどの荷電粒子が原子核に衝突し、その原子核をはじき飛ばすことで発生する原子構造の損傷を指します。この衝突により、原子核が運動エネルギーを得て他の原子と衝突し、連鎖的に損傷が広がります。照射損傷は、原子炉の構造材料や核燃料の特性に大きな影響を与える重要な現象です。原子炉内の高い中性子束にさらされると、材料の機械的特性が低下し、耐用性が低下する可能性があります。
照射損傷の種類

照射損傷の種類
照射損傷は、物質に対する中性子照射によって発生する損傷の総称です。その種類は、中性子のエネルギーや物質の特性によって異なります。主なものとしては、置換型損傷、欠陥型損傷、ガス生成があります。
-置換型損傷-は、中性子が原子核に衝突し、原子核を原子からはじき出すことで発生します。この結果、結晶構造が乱れ、材料の強度や伸び特性が低下します。
-欠陥型損傷-は、中性子が結晶構造内の原子に衝突し、原子を移動させたり、欠陥を引き起こしたりすることで発生します。これには、空孔、自己間質、転位などがあります。欠陥型損傷は、材料の伝導度や磁気特性に影響を与えます。
-ガス生成-は、中性子が原子核に衝突し、ヘリウムや水素などのガスを生成することで発生します。これらのガスは、材料中に気泡を形成し、材料の脆性低下や膨張につながる可能性があります。
弾き出し損傷

-弾き出し損傷-
原子炉では、高速中性子が原子核に衝突し、原子核を弾き飛ばす「-弾き出し損傷-」と呼ばれる現象が発生します。弾き飛ばされた原子核は別の原子核に衝突してさらに原子核を弾き飛ばし、その衝突が連鎖的に起こることで、材料の構造に損傷を与えます。この弾き出し損傷は、材料の機械的強度や耐食性を低下させ、原子炉での使用寿命に影響を与える可能性があります。
高速中性子は、原子炉の燃料であるウランやプルトニウムに核分裂反応を引き起こすために使用されます。核分裂反応では、多量のエネルギーが放出され、それが中性子として放出されます。放出された中性子は非常に高速で、材料の原子核に衝突する際に弾き出し損傷を引き起こします。
弾き出し損傷を軽減するためには、衝突する中性子の数を減らすことが重要です。そのため、原子炉では、中性子を減速・吸収する材料(中性子減速材)が使用されています。中性子減速材には、水や重水、黒鉛などが使用され、高速中性子を減速して弾き出し損傷の発生を抑えています。
核変換損傷

-核変換損傷-
核変換損傷は、原子炉内で中性子照射によって原子核が変換されることで発生する照射損傷の一種です。核変換損傷により、原子核の質量が変化し、新しい元素が生成されます。この変換によって、材料の微細構造が変化し、機械的特性や化学的安定性が低下することがあります。
核変換損傷は、原子炉の構造材料や燃料材料に影響を与えます。例えば、原子炉圧力容器の鋼材は、中性子照射によってニッケルが銅に変換され、延性と靭性が低下します。また、核燃料のウランは、中性子照射によってプルトニウムに変換され、核分裂反応を起こしやすくなります。
核変換損傷を緩和するためには、耐熱鋼やジルコニウムなどの耐放射性材料を用いたり、原子炉の運転条件を最適化したりする方法があります。また、核燃料を定期的に交換することで、核変換損傷による材料劣化を抑制できます。
照射損傷の影響

照射損傷の影響
照射損傷は、材料の強度、延性、耐食性などの機械的特性に悪影響を及ぼします。この損傷は、材料の脆化や破壊につながり、機器の寿命や安全性を低下させる可能性があります。特に、原子炉のような放射線環境で使用される材料では、照射損傷による影響が懸念されます。原子炉内の高い中性子線束は、材料中の原子を強制的に衝突させ、大量の欠陥を生成します。この欠陥が蓄積すると、材料の機械的特性が低下し、構造的な問題を引き起こす可能性があります。したがって、照射損傷を低減したり、その影響に対抗したりする手段を開発することは、原子力産業にとって重要な課題となっています。