WREプロファイルとは?温室効果ガスの安定化への道筋

原子力を知りたい
先生、WREプロファイルって何ですか?

原子力マニア
WREプロファイルは、温室効果ガスを安定化させるためのさまざまな経路を示すモデルのことです。

原子力を知りたい
つまり、同じ濃度を達成する方法が複数あるということですか?

原子力マニア
そうです。WREプロファイルでは、初期に大量の温室効果ガスを排出しても、後に技術の進歩によって急激に排出量を削減すれば、同じ安定化濃度を達成できると考えられています。
WREプロファイルとは。
原子力分野の用語「WREプロファイル」とは、温室効果ガスを同じ安定化濃度まで削減する経路が複数存在するモデルのことです。1996年にウィグレー、リッチェル、エドモンズによって提案され、頭文字を取ってWREプロファイルと名付けられました。
温室効果ガス排出量、安定化濃度、地球温暖化の進行状況の関係には、いくつかのモデルがあります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第2次評価報告書(1995年)では、安定化濃度と排出量の関係を示す「Sプロファイル」が初めて提示され、CO2排出量の早期削減と持続的な削減が必要との結論が出されました。
一方、WREプロファイルは、経済的に効率的な経路を想定しています。例えば、初期段階で大量のCO2を排出しても、技術が向上した後の段階で大幅に削減すれば、同じ安定化濃度に到達できます。さらに、このモデルでは、化石燃料の燃焼と土地利用の変化によるCO2排出量の両方を考慮しています。IPCCの第3次評価報告書にも、WREプロファイルのケースが示されています。
WREプロファイルの概要

WREプロファイルの概要
WREプロファイルは、世界温室効果ガス排出削減目標(2050年までに温室効果ガス排出量を100億トンCO2eq以下にする)を達成するための、温室効果ガスの排出削減経路を示したものです。温室効果ガス排出の削減目標を達成するために、エネルギー効率の向上、化石燃料からの脱却、再生可能エネルギーの導入など、さまざまな対策が盛り込まれています。また、プロファイルには、排出削減目標を達成するため必要となる技術、政策、投資についても記載されています。このプロファイルは、世界中の政府や企業が、気候変動対策の目標を設定し、実施していくための重要な指針となっています。
WREプロファイル誕生の背景

-WREプロファイル誕生の背景-
世界の温室効果ガス排出量は1990年以降急増し、気候変動への懸念が高まっています。この問題に対処するため、2015年にパリ協定が採択され、「地球の平均気温の上昇を産業革命以前の水準から2度未満、できれば1.5度に抑える」という目標が掲げられました。しかし、各国が約束した温室効果ガス削減目標だけでは、この目標を達成することは難しいとされていました。
そこで、2017年に国際エネルギー機関(IEA)によって開発されたのが、WREプロファイルです。これは、世界のエネルギーシステムを根本的に変革し、今世紀半ばまでに温室効果ガス排出実質ゼロを実現するための包括的なシナリオです。WREプロファイルは、化石燃料への依存からの脱却、再生可能エネルギーの拡大、エネルギー効率の向上を柱とする、野心的な目標を設定しています。
Sプロファイルとの違い

-Sプロファイルとの違い-
温室効果ガスの安定化を目標としたWREプロファイルは、Sプロファイルとは異なり、2100年までに世界の温室効果ガス排出量をゼロにすることを目指しています。これに対して、Sプロファイルは2100年までに排出量を80~95%削減することを想定しており、残りの排出量を二酸化炭素除去技術で相殺することを想定しています。
この違いは、排出削減の厳格さと、二酸化炭素除去技術への依存度という観点から重要です。WREプロファイルは、より野心的な削減目標を設定しており、より厳しい排出削減措置の必要性を示唆しています。一方、Sプロファイルは現実的な削減目標を設定しており、二酸化炭素除去技術に依存してゼロ排出を達成することを想定しています。
WREプロファイルの特徴

-WREプロファイルの特徴-
WREプロファイルは、温室効果ガスの排出を長期的に安定化させるための重要なツールとなるよう特別に設計されています。このプロファイルは、排出を漸進的に削減しつつ、適正な開発の機会と経済成長の余地も確保することを目的としています。
WREプロファイルの主な特徴の一つは、その漸進性です。このアプローチは、1990年の排出量から2050年までに80~95%削減することを目指しており、大幅な短期間での削減ではなく、時間の経過とともに排出量を段階的に減らしていくことを想定しています。これにより、社会や経済への過度な負担や混乱を避けることができます。
さらに、WREプロファイルは、公平性と共通ですが重視されています。このプロファイルは、すべての国が温室効果ガス排出削減に責任があると認識しており、各国の状況や開発途上段階に応じた負担の公平な配分を確保することを目指しています。
WREプロファイルは、温室効果ガスの安定化に向けて、現実的で実行可能な経路を提供するように設計されています。漸進性、公平性、共通ですが重視されたアプローチにより、このプロファイルは、世界の持続可能な未来を確保するために不可欠なツールとなっています。
IPCCにおけるWREプロファイルの扱い

-IPCCにおけるWREプロファイルの扱い-
WREプロファイルは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書で扱われています。IPCCの第5次評価報告書(AR5)では、WREプロファイルの目的と方法論について説明しています。AR5はまた、WREプロファイルが気候変動の緩和戦略の設計や比較に役立てられることを認識しています。
さらに、IPCCのAR6では、WREプロファイルはIPCCの共有社会経済経路(SSP)と組み合わせることが推奨され、温室効果ガスの排出経路に関する幅広いシナリオを開発するために使用されています。これにより、政策立案者が気候変動の潜在的な影響を評価し、排出削減戦略を検討するためのより強力なツールが提供されます。