線量の単位「レム」の廃止と現在使用されている「シーベルト」

原子力を知りたい
原子力に関する用語『レム』について教えてください。

原子力マニア
レムは、放射線の生物学的効果を考慮した吸収線量の単位です。1レムは、X線を1ラド吸収した時の線量に相当します。

原子力を知りたい
しかし、放射線の種類によって生物への影響は異なりますよね?

原子力マニア
そのとおりです。そこで、レムはX線を基準とした生物学的効果比(RBE)を掛け合わせて算定されます。例えば、α線のRBEは20なので、α線を1ラド吸収した時の線量は20レムとなります。
レムとは。
「レム」とは、放射線が人体に及ぼす生物学的な影響を考慮した単位です。かつては用いられていましたが、現在は使用されていません。
X線を1ラド(0.01ジュール/kg)吸収した場合の線量が1レムとされていました。しかし、同じ吸収線量でも放射線の種類やエネルギーによって生物への影響は異なるため、X線を基準とした生物学的有効率(RBE)を乗じて等価線量が求められました。RBEの値は、X線、γ線、β線は1、α線は20、中性子は5〜20とされています。例えば、α線を1ラド吸収した場合、その線量は20レムになります。
その後、放射線防護の分野ではRBEに代わって線質係数(QF)が用いられるようになり、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年の勧告では、QFは放射線加重係数(WR)と改称されました。また、吸収線量の単位もラドから国際単位系のグレイ(Gy:1ジュール/kg)に変更されました。そして、グレイにWRを乗じた等価線量が1シーベルト(Sv)と定義されました。
したがって、1シーベルトは100レムに相当します。
レムとは何か?

「レムとは何か?」
レム(rem)は、かつて使用されていた放射線被ばくの単位です。レムは、放射線の種類や放射線に対する人体組織の感受性を考慮して、生物学的影響を測定するために使用されていました。つまり、同等の生物学的効果を持つさまざまな種類の放射線を比較することを可能にしました。
レムの規格化の経緯

-レムの規格化の経緯-
1940年代、原爆開発に伴って放射線量が生物に及ぼす影響を評価するため、レム(Roentgen equivalent man)という単位が導入されました。レムは、X線やガンマ線の吸収線量に、生物に対する影響の加重係数を乗算したものです。
その後、放射線の種類やエネルギーによってはレムでの評価が不適切なことがわかり、国際放射線防護委員会(ICRP)が1977年に新しい単位としてシーベルト(Sv)を提唱しました。シーベルトは、すべての電離放射線に対する等価線量を表す単位で、レムに代わる世界共通の線量単位として採用されました。
生物学的効果比 (RBE)

生物学的効果比 (RBE)
人体に与える放射線の影響を評価する際、その「生物学的効果」が考慮されます。異なる種類の放射線は、同量の線量でも人体に異なる影響を与える可能性があります。生物学的効果比 (RBE) は、特定の放射線の生物学的効果を、基準となる放射線(通常はX線またはガンマ線)の生物学的効果と比較して数値化したものです。
RBE の値は、放射線の種類や放射線を吸収する組織の種類によって異なります。例えば、中性子はX線よりもRBE が高く、組織に対してより深刻な損傷を与える可能性があります。生物学的効果は、DNA の損傷、細胞の死、さらには癌などの健康への影響に至るまで、さまざまな可能性があります。RBE は、放射線による健康への影響をより正確に評価するために使用されます。
線質係数 (QF) と放射線荷重係数 (WR) への移行

レムは長年使用されてきた線量の単位でしたが、国際放射線防護委員会(ICRP)は2007年にレムからシーベルトへの移行を勧告しました。この移行により、線量の測定方法が変更されました。
レムは、線量の物理的量である吸収線量に、線質係数(QF)を乗じて算出されました。線質係数とは、放射線の種類ごとに異なる、生物に対する相対的な影響を表すものです。一方、シーベルトは、吸収線量に放射線荷重係数(WR)を乗じて算出されます。放射線荷重係数とは、放射線の種類ごとに異なる、人体への悪影響の重み付けを表すものです。
この移行により、異なる種類の放射線の影響をより正確に評価できるようになりました。シーベルトでは、放射線の種類による影響の違いが考慮されており、放射線防護においてより適切な線量評価が可能となりました。
グレイとシーベルトの採用

1970 年に原子力関連機関の国際会議において、これまで使用されてきた放射線量の単位「レム」が廃止され、新たに「シーベルト」が採用されました。これは、レムが人体への影響を表すのに対し、シーベルトは物質の吸収線量を表す単位であり、より正確で科学的な測定値と考えられたためです。また、シーベルトは国際単位系 (SI) に対応しており、他の SI 単位との整合性も保たれました。
この採用に関連して、もう一つの単位である「グレイ」も導入されました。グレイは物質が放射線から吸収するエネルギーの量を表す単位で、シーベルトと似ていますが、人体への影響を考慮していません。グレイは、シーベルトと並んで放射線防護の分野で広く使用されています。